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『それでもボクはやってない』 [映画]

周防正行監督の待望の新作ですね!
今回は裁判を、しかも冤罪をテーマにしたもので、
法律を勉強している私としては、とても興味がありました。
今は行政救済法を専門にしているのですが、
学部時代では、刑事訴訟法が大好きでしたし。
(刑法ではないところがポイントです!)

刑訴って何ぞや?といいますと、
まさに今回の映画のテーマにもなっている冤罪にも関わる部分、
刑事訴訟の手続き的な事を定めている法律です。
適正手続ですとか、証拠能力とか、そういうのですね。
例えば、違法な捜査による証拠は、どれだけ容疑者の犯罪の決め手になろうとも
使えない、といった感じです。
(しかし、今は愛した刑訴も刑法も全く手つかず。
かなりアバウトな説明をしましたが、違っていたら御一報下さい☆)

そんな話はさておき、映画について。
ストーリーは「痴漢冤罪」をテーマにしているということだけで、
大体解ると思いますが、そうです。濡れ衣ってやつです。
満員電車に乗っていて、たまたま主人公金子徹平の前に女子中学生立っていた。
その女子中学生は満員電車の中で痴漢行為を受けていた。
そこで、次の駅で下りた徹平をその本人だと思い、徹平の裾を摑んで言います。
いま痴漢したでしょ

ストーリーについては、「それでもボクはやってない」のホームページで
詳細に書かれていますよ。↑クリック☆

これね、本当にしっかり丁寧に作られていますよ。
痴漢やDVが問題になると、女性は弱い立場だと思いがちなんですけれど、
逆の言い方をすれば、男性が「痴漢!」なんて言われてしまえば、
もはやそこまでですよ。その罪は決定的になってしまう。
そうですね、男性は特に観たほうがいいかも知れないです。
ええ、日本では、笑えない現実ですから…。

社会派映画ということもあって、内容も割と重々しく、一定の緊張感で進んでいくので、
観る側が疲れてしまうという難点もあるのですが、
その辺は覚悟してでも、観るべき映画だと思います。
こういう現行制度の矛盾や問題を指摘するものって少ないですしね。
あ、ニュースや専門書は別ですけど。
誰でも気軽に、その入り口に立てるという点で、
映画は、単純にエンタテイメントに徹したものだけでなく、
時には、こういう社会的映画で、その知るきっかけに一役買うべきであると思うのです。
あんまり重厚過ぎても、退屈なだけですけれど。
でも、『それボク』は、裁判の問題を指摘しつつも
エンタテイメント要素はしっかりあったと思います。
笑えるところもちゃんとあります。そこは流石周防監督ですね。

取調べのシーンはリアルで怖かったです。
いや、勿論私は経験ないですよ
ただ、警察・検察も罪を犯した者を赦すわけにはいかないので、
そう簡単に「無実だ」と主張しても、認めることはできないんですよね。
国家権力の威信にかけても、といったところでしょうか?
だから、
やったんだろ!やったんだろ!認めたらそれで終わるんだよ!!
って、自白の強要になったり被疑者を追い詰めたりするんでしょう。
ああやって、冤罪は築かれていくんですね…。怖い。

出演者の方について。
正名僕蔵さんが演じた大森裁判官が好きです。
無罪判決も躊躇わずに出す勇気と正義を心に持つ裁判官!
見た目も、あー、いそういそう♪って思っちゃいました。
大森裁判官を見てると、私の大学の教授を思い出してしまいました。
大阪高裁の裁判長もしていた先生で、もう退職なさってしまったんですけれど、
本当に可愛い方だったんですよー。←失礼な言い方なんですけどね。
凄く楽しそうに授業されてて、穏やかで素敵な先生でした。
瀬戸朝香さん演じる須藤弁護士のように、いつもがらがら荷物ひっぱってましたね(^^)
でも、退職されたのにロー(ロースクール)で働いているそうですが…。

加瀬さんは、あのフツウな感じが、特別なことではなくどこでも起こりうることだ
ということを痛感させてくれて、本作の主人公にぴったりだったと思います。
追い込まれている様子に気迫がありました。
何かのインタビューで加瀬さん自身「平凡だから、使いやすいんじゃないかな」
っておっしゃっていたと思うのですが、
それが魅力でもあり、加瀬さんの「平凡」は「平凡が非凡」っていうイメージです。
瀬戸朝香さんの弁護士は、設定では新米弁護士なんだけど、
新米弁護士にはどうしても見えなかったな…。
少なくとも5年は経験積んでるでしょ?って雰囲気がありました。
でも、弁護士業界で5年はまだまだか…。

なんか、こういう映画を観ると、法曹っていいなーって思っちゃいます。
『Shall we ダンス?』で一躍社交ダンスが広がりブームとなりましたが、
この映画で裁判傍聴が一気に広まるんでしょうか?
でも、結構傍聴って面白いみたいですけれどね。
民事裁判は昼ドラものだとかどうだとかって、聞きますケド…。


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a.k.a.Hakase

映画見まくりじゃないっすかー

それでもボクはやってないは俺も見に行こ思ってるわ
ずっと刑訴ゼミやし、しかも学部のときは再審のこと調べてたから
相当かぶってる感じがするしね、楽しみなんよ

ディパーテッドはねぇ…
俺的にはやっぱトニーレオンやないと!って思いが強いわ 笑
by a.k.a.Hakase (2007-01-25 11:55) 

朱殷

>a.k.a.Hakaseサマ
あはは(^^)最近は特に集中してるカモ知れないです。
映画館で観ないと、どうもこうもって感じで。
好きなんよねー。映画館で観る映画が。勿論自宅で観るのも好きだけど。
『それボク』はオススメっすよ!
あ、そっか、ゼミってK先生やもんね。刑訴やってるなら尚更行かんと!
『ディパーテッド』に関しては、オリジナルが最高でしたから。
トニーレオンは良かったよね~。
by 朱殷 (2007-01-25 17:23) 

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