吉田修一『静かな爆弾』 [読書]
こんなにもタイトルが内容をよく表している本は珍しいです。
中盤から思っていましたが、このタイトルは秀逸だな、と。
やー、偉そうですみません…。
主人公は政治を扱うジャーナリスト。
ある日、主人公が公園で出会う女の子がいるのですが、彼女は耳が不自由なんです。
というと、私、『オレンジデイズ』を思い出すのですが。
当時まさに学生だったので。
あのドラマは中盤まで良かったのに、後半グダグダだったなあ…。
自分には当たり前の世界が彼女にとっては当たり前でない。
同じ空間、同じ時間を過ごすのに、何処か住んでいる世界が違う二人がいる。
こちらとしては音のない世界を想像するけれど、実際にそういうシーンに出会わない限り想像しきれない部分も多々あると思います。
そういうところも描かれていて良かったなぁ…。
お互いを思う気持ちはあるのに、うまく重ならないというか、絶対にズレの部分というのはあって。
理解しようと努力はするけれど、決して理解することは出来ない領域があるというか。
二つの円があって、その二つの円が重なる部分はあるけれども、重ならない部分の方がむしろ目立つというか。
そういうのはあまり表現が良くないですが、健常者同士でもあると思うんです。
重ならない部分っていうのは。
でも、いっそう感じるのは、明らかな違いがあるからでしょうね。
聞こえると聞こえないと。
そもそも違う世界で生きている、というのが凄く感じられた作品な気がします。
多分、作者もそう感じさせる意図があったのだと思うのですが。
子供は無邪気で残酷。
それに類似するものがあると思いました。
一定年齢超えた子供の無邪気で残酷は親の教育の問題ですね。
しっかりしつけしろ!
うん、これ蛇足。
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